更新日:2021年12月13日
大島は宗像市神湊の北西約6.5kmの沖に浮かぶ周囲約15kmの島だ。2017年に島内の「宗像大社中津宮」や「宗像大社沖津宮遙拝所」などが世界遺産に登録されて以来、国内外からも注目される存在となった。しかしこの島の魅力はそれだけじゃない。島の北側で見られる紺碧の大海原を背景にしたダイナミックな絶景が最近話題を呼んでいる。
どこまでも緑が拡がる大丘陵。その中に戦前に造られた砲台跡と、のんびり羽を回す赤い風車、そして背後には大きな大きな青い海。砲台は昭和11年に旧日本軍が造営したもので、かつては15センチカノン砲4門が玄界灘を威嚇していた。今も大砲が据えられていた4つの円形の砲座や観測所などの施設跡を見学できる。細長い観測所の窓から外を覗いてみると、その美しい景色と戦争の歴史とのギャップが印象深く思い出に残るだろう。
『筑前大島灯台』は、紺碧の海をバックにして真っ白な姿がとても美しい灯台だ。灯台のドア上部のプレートには「大正十五年十一月拾日初点燈」とある。1926年なのであともう少しで100周年だ。今も現役の灯台として22万カンデラという光度で、約35km先まで玄界灘を行き交う船の航路を導いてくれている。
眼下には玄界灘に突き出た突き出た神崎鼻を見下ろすことができ、付近の傾斜地にはハマヒサカキの群生がみられる。遊歩道を下れば、神崎鼻の馬蹄岩を見ることもできる。岬には「陸軍省」と書かれた石標が立てられ、この場所が旧日本軍にとって重要な場所だったという歴史を物語っている。
約400年前に筑前藩主・黒田長政が植樹を命じたというこの松原。今も樹齢約200年のクロマツが群生しており、松並木の道は美しく清々しくて気持ち良い。またこの松原に沿って、釣川河口にある「道の駅むなかた」を拠点に、距離の異なる5つのウォーキングコースが用意され、体力や時間に合わせて松原や海を眺めるウォーキングを楽しむことができる。
また釣川河口付近の海岸には「北斗の水くみ海浜公園」があり、9月下旬から10月下旬の1ヶ月間のみ、北斗七星のひしゃくが海の水を汲むように見える「北斗のみずくみ」現象を観ることができる、世界唯一のレアスポット。でも何と言っても、日が暮れた後の薄暮の時間帯がとても美しい景色が見られるという。古代から連綿と続くこの大海の眺めは、今も昔も変わらず人々の心を癒やしたにちがいない。